「田川さん!俺、田川さんのギター聴いて、マジでカッコいいなって思いました!好きです、付き合ってください!」
 私の頭の中で、思考が停止した。
 あまりの衝撃に、何も考えられなかった。
 「田川さん、何か言ってくださいよ」
 「どうなんすか」
 次第に周囲からそんな声が聞こえる。
 私は、ゴクリを唾を飲んだ。
 ここで、どう答えるのが正解なのか?
 この言葉の真意は何か?
 いわゆる単純な告白なのか、それとも他に意味があるものなのか?
 いくつもの疑念が身体中を駆け巡った。
 私は、一歩前に出て目の前にいる元気の良いサッカー部員に近づいた。
 「ごめんなさい、お気持ちは嬉しいけれど……私にはやっぱり大好きな人がいるんです、ありがとうね」