残暑の中始まった始業式。
 「……?」
 クラスごとに並ぶ体育館で、なぜか1組の生徒の中に、良太が混ざっていた。
 誰かを探してきょろきょろとしているようだが、誰かを探しているのだろうか。
 後から考えれば、良太は私のことを探してくれていたのだと思うが、徐々に関係が悪くなっていたその時には、そうだとは微塵も思わなかった。
 「はいそこ、並びなさいよ」
 担任が目の前に押しかけてくる。
 「はい、すみません」
 私は、良太の姿を横目に、声も掛けられず、気がつかないふりをした。
 本来なら、私はここから良太にアプローチをしていくはずだったのだが、今となっては、不用意に近づくことはできなかった。