それを聞いた良太は、
 「そういうのが迷惑だって言ってるんですよ!」
 と若干声を荒げて言った。
 さすがに私も、これは困ったことになったと思ったが、
 「そう、迷惑かあ……ごめんね、好きになっちゃって」
 と言って、静かに去った。
 背後がざわざわとしている。
 私の心には、針がプスリと刺さったような気がした。
 それでも、私は、良太が「嫌いだ」と繰り返し言っているのは好きの裏返しだと都合良く考えていた。
 それほど、彼の私への気持ちが急変するには期間が短すぎると思ったし、まだどこかで良太を信じていたいと思っていた。
 この日を境に、私は夜な夜な近日数日の出来事を思い出したり先を思い悩んだりして、人知れず泣くことが増えることになる。