翌日のお昼休みの学校は、バレンタインチョコを配る人で賑わっていた。
 廊下ではチョコレートの交換をしている人がいたり、大きな袋を抱えて通り過ぎる人もいる。
 あらかたチョコレートを配り終えたところで、いよいよ「本命」を渡そうと8組の教室へ向かった。
 この日は教室に人が少なかったが、野球部だけは全員いた。
 たくさんのチョコレートを配って軽くなった袋を覗いてみると、生チョコを入れた袋が1つだけ残っている。
 昨年もそうだった。
 1つだけ残ったチョコを手にしたのは、良太だった。
 「あの、こんにちは。チョコが1つだけ余ったんだけど、誰か貰ってくれる人いないかな?」
 8組の教室に入った途端、謎の歌なのか囃し立てるような声が教室に響いたが、それも束の間、私がチョコの話をしたと同時に、