十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす

「久しぶりだな」

最初に声をかけてくれたのは、理玖から。

「……久しぶり」

10年ぶりの再会。
もしかしたら、他の人であれば気づかないということもあるのではないか。
容姿が変わっているとか、もうすっかり相手の顔を忘れているとか。
そんな可能性が、10年という長い年月には含まれている。
でも、そんなことはなかった。
この人に関しては。

「元気にしてたか？」
「……うん……」
「そっか、よかった」

理玖は、私の家の事情を知っていた。
10年前のあの頃、私のことを1番知っていたのも、支えてくれていたのも理玖だったから。
それくらい、この人は私の側にいてくれた。
高校時代の３年間を共に生きてくれた人。
夢を追いかけてくれた人。
愛してくれた人。

そんな彼が、私に絡ませてくれた指を、掴んでくれた手を突き放したのは……私からだったけれど。