そうして出かけた先は、浅草橋。
職人が多いと言われる町に、理玖の実家があった。
ご両親はというと、理玖のお父さんは伝統工芸の職人、お母さんは私でも知っている有名なイラストレーターさんだった。
名刺で名前を見た時に泡を吹きそうになった。

「あらー可愛いお嬢さんね。今度のイラストのモデルになってもらいたいけど、いいかしら」
「やめて、有料だから」
「お、彼女か。男の子が生まれたら俺の後継にしてもいいか?」
「勝手に決めんなバカ親父」

などと、それぞれから普通にフランクに話しかけられ、理玖がそれに対していちいち突っ込んでるのが、とても可愛かった。