十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす

私が、理玖の言葉に何も返せずにいると、急に理玖は私の左手を取った。

「り、理玖!?」
「こっちの指用でいいか?」
「え!?」
「ピンキーリング、こっちで、いいんだろ?」
「あ、う、うん……」
「分かった。じゃあサイズ測ろう」

理玖はそういうと、スッと私の小指に銀色の輪っかをはめてきた。

「り、理玖!?これ……」
「リングゲージ。……使ったことくらい、あるだろう」
「あ、そ、そうだね……」

ついさっき、別の店でもつけさせられた。

「お前……」

じっと理玖が、私の左小指を観察してくるので、何でだろうと思って見てみると、指の毛を剃り忘れていたことに気づいた。

「あ、あの……指!手入れ!忘れてて!」

中野さんの前では指の毛もささくれも気にしないと言うのに。
今になって、どうしてちゃんと手入れをしておかなかったのだろうかと後悔が押し寄せた。