「美空ちゃん、どうした?」
「え?」
「顔色、少し悪いよ」
「ご、ごめんなさい……」
「それはいいけど……それより指輪、良い店を見つかって、良かったな」
「はい、そうですね……」

結局あれから歩き回ったが、1ヶ月以内で指輪を作ってくれそうな店は見つからなかった。
仕方がないので、私と中野さんはカフェに入り、ネットで先に店を探すことにした。
そのおかげで、間に合わせられそうな、良さげなEC専門店を見つけた。
セミオーダーという形であれば……ではあるが。
私と中野さんの指輪のサイズは、すでに他の場所で測ってもらっていたこともあり、中野さんはあっという間に注文を済ましてしまった。
すでに作られた型や宝石から、チョイスするだけのもの。
まるで宅配の料理を頼むような手軽さだと思った。
私と中野さんの結婚くらいであれば、これくらいの軽さで丁度良いと思った。
私は、大好きなカフェモカを一口飲みながら、1ヶ月後に契約の指輪がはめられる左薬指を眺め、ほっとため息をついた。