こうして、私が勝手に終わらせた10年前の恋の相手と、まさか他の人との結婚指輪を探しに来るタイミングで会うことになるなんて思わなかった。

ただ、会うだけならよかった。
むしろ、無視されるくらい憎んでくれた方が、ずっと良かった。

春の空色の壁。
木の香りがする、カフェモカ色の扉。
それを、アクセサリーの美しさが映える形でレイアウトをする。
そして、見えるところに設置された工房。

理玖がスケッチをしたままのお店が、理玖の手によって作られていた。
この事実を、私はどう受け止めれば良いのだろう。
ただ単に、そのデザインが気に入ったから具現化しただけ?
それとも……。