十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす

私が身に着けるアクセサリーは、全部自分が作りたい。
たったそれだけの理由で、理玖は私と同じ学科を志望してきた。

理玖に悪気がないのは分かっている。
むしろ、ここまで愛されるのは、喜ばしいことではないだろうか。
何度もそう考えようとした。
実際、嬉しかった気持ちは嘘ではない。

そもそも、理玖には「受験に落ちる」という概念が存在しない。
何故なら、彼はコンクールには出せば必ず入賞するどころか、SNSでの話題を掻っ攫う程の天才だから。

誰もが彼の未来を気にしていた。
どんな道に進むのか。
どんな伝説を残すのか。
本人をそっちのけで、周囲が勝手に如月理玖に期待をする。
だけど、理玖本人は、全く気にしない。
それどころか、興味がないのだ。外野の声に。

そんな理玖だからだろう。
彼は無邪気にも、創作活動をし終わった後のルーチンになってしまったベッドでの営みの最中に当たり前のように語るのだ。
私と共に生きる未来を。
正確に言えば……私が、理玖と共に歩き続けることができている未来を。