十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす

「俺も、工芸科行く」
「……え?」
「美空と同じようにね」

この頃には、すでにお互いを名前で呼ぶのが自然だった。
お互いの希望進路が東京藝大であることも、打ち明けていた。
私は、理玖が自分と違う油絵に行くものだと思っていたから、安心していたのだ。

この人とは、高め合うことはできる。
この人に蹴落とされることはないと。

「でも、理玖は油絵目指すんじゃ……」

私が聞くと、理玖は、さっきまで彼の肌を愛した私の左薬指の手に取り、口に含んだ。

「んんっ……」

理玖によって、感じることを知った。
舌先でツンツンと私の爪や指の第二関節を触れながら、彼は吐息で言葉を放つ。

「指輪をつけるのは、指先に星を降らせるようなものだって」

理玖は、チュッと音を立てながら、手の甲や手のひらにキスを落としていく。

「そんな指輪を、あんたは作りたいから美大に行くって……そう言ったよな」
「覚えてたの……んんっ……」
「覚えてるよ。美空のことなら、何でも、ね……」
「俺も、工芸科行く」
「……え?」
「美空と同じようにね」

この頃には、すでにお互いを名前で呼ぶのが自然だった。
お互いの希望進路が東京藝大であることも、打ち明けていた。
私は、理玖が自分と違う油絵に行くものだと思っていたから、安心していたのだ。

この人とは、高め合うことはできる。
この人に蹴落とされることはないと。

「でも、理玖は油絵目指すんじゃ……」

私が聞くと、理玖は、さっきまで彼の肌を愛した私の左薬指の手に取り、口に含んだ。

「んんっ……」

理玖によって、感じることを知った。
舌先でツンツンと私の爪や指の第二関節を触れながら、彼は吐息で言葉を放つ。

「指輪をつけるのは、指先に星を降らせるようなものだって」

理玖は、チュッと音を立てながら、手の甲や手のひらにキスを落としていく。

「そんな指輪を、あんたは作りたいから美大に行くって……そう言ったよな」
「覚えてたの……んんっ……」
「覚えてるよ。美空のことなら、何でも、ね……」