理玖は、高校へは行かず、16歳ですでに高卒認定資格を持っていた。
そんな話が、すぐさま予備校中を駆け巡るくらい、理玖は注目されていた。
理玖の手が生み出すもの全てが、理玖以外の予備校生全員の自信を失わせるには十分すぎた。

絵、粘土、彫刻。
どんな人生を辿れば、あんな発想がうまれるのか。
どんな風に訓練すれば、あんな細かい細工が作れるのか。

羨ましかった。
嫉妬した。
ムカついた。

だから、偶然教室で2人きりになった時に、つい言ってしまったのだ。

「あんたの作品、ロボットが作ったみたいで気持ち悪い」

と。
普通の人間なら「失礼だ!」と怒り狂うだろう。
少なくとも私だったら、ペインテイングナイフで言ってきた人の作品に傷の1つでもつけてしまったかもしれない。
でも、理玖は違った。

「そうだな。俺の作品は、あんたの作品程面白くはないな。東雲美空さん」
「えっ!?」