「ゆっことゆま、相変わらずらぶらぶだねぇ」
ゆまと呼ばれてるのは私、松岡佑茉。
ここは、桜ヶ平女子学院高等学校の中等部一年の教室だ。由緒正しい中高一貫校の女子校で、制服は白のブラウスに紺色のジャンバスカート。
赤いリボンをつけて赤いベレー帽をかぶっている。この制服が可愛くてこの学校を選ぶ人が多い。
それに色にはしっかりと理由があり、赤は『愛』白は『潔白』紺は『謙遜』を表しているんだと入学して担任の先生に教えてもらったのが印象に残っている。
「まだひと月しか経ってないのに……できてんの?」
「確かにゆまのこと大好きだけど、私は男の子好きだよっ」
「ゆっこのことは好きでも、だって私、この漫画の九条くんが好きなんだもん!」
私が今、ハマってる少女漫画の九条くんとは王子様のような男の子だ。現実にはいなさそうだけど。