……もう、無理だ。


「ごめんなさい、私急用を思い出したので帰らせていただきます」

「え、ちょっと待って」


ぎゅっと掴まれた手首。

けれど、もう我慢ができなくて溢れた涙。


いま、先輩の顔は見たくない。

けれど、逃げたい。


「真白ちゃん……?」

「もう……もう、先輩とは関わりたくありません!!」

「っ……」


先輩の手を振り払って、走って図書室から出る。

 
すると……。


バンッ!


「っ……!ご、ごめんなさっ——」

「真白?」

「あ、蒼……?」

「おい、どうしたんだよその顔」


ぎゅっと握られた手首。


「え、えっと……目にゴミが入っちゃって……」

「明らかに泣いただろ」

「うう……そう……です……」


バレちゃった……。


「……ほら、下向くな。こっち来い」


ぐいぐいと手を引かれて、されるがままにどこかへ連れて行かれる私。


連れて行かれたのは、校舎裏だった。


……もしかして、誰もいないところに連れてきてれたのかな……?


「ありがとう、蒼」

「……ああ。で、なにがあった……?」

「……ううっ……うわぁんっ……!!先輩に……。先輩に好きな人がいたぁっ……」

「はぁ?」


もうやだっ……。


下を向いて、泣いているとなんだか包み込まれるような感覚が走る。