溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

「あ、あの!なにか勘違いをされていませんか!?私は千星先輩の彼女とかではありませんよ!?」

「存じております」


じゃあなんで——


「お嫁様ですよね?」

「……へ?!」


お嫁さん!?

いやいや……!!どうしたらそうなるの……!?


「だから、そんなんじゃなくて……」

「真白ちゃん、準備できたよ」

「あ、はい……!!」


な、なんだかメイドさんたちにとんでもない勘違いをさせてしまったかも……。


罪悪感に浸りながらも、先輩に手を引かれてキッチンに向かう。


「それ、キッチン……ですか?」

「え?うんそうだけど」


……キッチンの規模ではないのですが……。


広すぎる、高級レストランの調理場のようだ……行ったことないけれど……。


「あ、ごめんね、狭すぎた?」

「いやいや!逆です広すぎますよ……!!」


こんな広いキッチンで2人きりって、なんだか逆に寂しいのですが……。


「ふふっ、よかった。じゃあプリン作ろうか」

「あ、はい……」


……なんだか、先輩とはほんとに住んでる世界がちがうな。


きっと、私と絡んでるのだってもうすぐ終わっちゃうんだろう。


……ズキッ。


……へ?な、なんで胸が痛むの……!?