溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

ほ、ほんとにどうなっちゃってるの……!?


「ははは、驚きすぎだって」

「いやいや!」


驚かない方がおかしいし普通だと思いますが……!!


「あ、着いたね。じゃあ行こうか」

「は、はひ……」


もうだめだ……ここは、どこか物語の中の世界だと思って対応しよう……。





ガチャンッキィィィ


「「「「おかえりなさいませ、千星様」」」」


……なんですか……これ。


見たことのないぐらい大きなドアに、何人もおそらく使用人だと思われる人がそう頭を下げていた。


こ、こんなの……!物語とかでしか見たことない……!!


「真白ちゃん?大丈夫?」

「全然大丈夫じゃないです……」

「あはは、そんなこと言わないでよ。ほら行くよ」

「ううっ……はい……」


その後、客室と言われるめちゃくちゃ大きくて綺麗で、ふかふかのソファがある部屋で私は待機させられていた。


いまはキッチンを綺麗にしてくれているらしい。


「……あの」

「あっ、はい!?」


声をかけられて、慌てて振り向くとそこにはベテラン感溢れるメイドさんがいた。


「真白さんですよね?」

「はい!」

「ぼっちゃまのこと、よろしくお願いします」

「……ふぇ?」


ぺこりと頭を下げたメイドさん。


それ以外にもいつのまにかメイドさんが寄ってきて、沢山の人に頭を下げられる。