溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

「……え?」

【それに、“千星くん”になら任せられるわ】

「ち、千星く……?」


な、お母さんいま言ったばかりの先輩をくん呼びはちょっと早いんじゃない……!?


【じゃあいってらっしゃい〜】

「えええっ……は、い……」

「ふふっ、ちょうど迎えもきたし、行こうか」

「ふぇ?」


む、迎え……?

驚きを隠せない中、キョロキョロとしていると見えたのは黒いピカピカの高そうな車。


「ま、まさか……」


あの車が迎えだなんて言わないよね……?


「まさかだよ〜。ほら行くよ」


ぎゅっと握られた手。

ぐいっと引かれて、私はされるがままに車の中へ。


「ち、千星さんってやっぱり超お金持ちなんですね……」

「あー。まぁね」


やっぱり、格の差がありすぎる……。


「まぁまぁ、僕が金持ちだからとか関係なしに仲良くしよう?先輩後輩として」

「あ、はい」


たしかに、仲良くできる人が増えるのは嬉しいし。いっか。


「突然だけど、真白ちゃんって好きな人とかいる?」

「ふぇ!?」


す、好きな人……!?


「なにその反応可愛い……」

「か、かわっ……!?」


好きな人を聞かれた次は可愛いなんて聞こえて、完全にキャパオーバーだ。