「……話って、なぁに?」

「もう、俺に近づくのはやめて欲しい」

「別に、千星にちょっかいかけてるわけじゃないよ?」

「わかってる。だけど、やめて欲しい」


……真白ちゃんが、心配するから。

僕のことなんてどうでもいいけど、真白に迷惑をかけることだけは、絶対に許さない。


「……嫌だよ。千星だけ幸福なんて、不公平だろ?」

「……あー。そうだな」


さっきまで微笑んでいたのに、いっきに笑顔を消した優星。


……僕たちは、昔から英才教育を受けていて、家を継ぐために。

それはだいぶしんどくて、けど“できる子”になれと育てられて、それ以外の選択肢がないからただ敷かれたレールを歩く。


もちろん、僕の両親は無理はしなくていいとは言ってくれた。

けど、祖父が厳しかったから、そんな緩く行くわけには行かなかった。


それは、優星も同じこと。


そして、コイツが納得いってないところは、きっと僕にとっての真白ちゃんの存在だ。


自分に大切な人がいないだけなのに、僕だけ幸せを味わっているのが許せないんだ。