溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

「……で、つまり真白ちゃんは婚約オッケーってことでいい?」

「へ?あ、は、はいっ……!私は、先輩といれるなら嬉しいです……!」

「っ……ガチ可愛い。ありがとうね、真白ちゃん」

「あ、は——」

ちゅっと響いたリップ音。


「なっ……!?」


いたずらっ子の少年のような笑みを浮かべた先輩。

ご両親がいるのにもかかわらず、私の額に口付けてきたのだ。


「あら〜」


先輩のお母さんはなんだかにこにこしていて、先輩のお父さんは……なんだか、さっきよりも先輩のお母さんに近づいているようだった。


……この2人は、とってもいい夫婦なんだろうなぁ。


ふふっ、私も先輩とあんな夫婦になりたいな、なんて。


「……あ、そうだ。もう真白ちゃんのご両親には話つけてあるから、安心してね」

「えっ?あ、はい……!」


す、すごい……先輩いつのまに……。


「それじゃあ、帰ろっか」

「へっ?」


あ、あれっ……?もう帰っちゃって平気なの?


「ん?どうかした?」

「い、いえっ……!」

「ふふっ、じゃあ行こう」


差し出された手。


なんだか、先輩は早く帰りたそうにしている。


「……にしても、よかったわ」

「ああ、そうだな」