溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

「……とっても嬉しいお話です。けれど……私の家と婚約したからって、佐伯さんへの得って、ないんじゃないでしょうか……?」


そう言うと……なぜか、千星先輩も含めて、3人ともポカンとしていた。


「ぇあっ……し、失礼しまし——」

「そんなことないのよ?」


ふふっと女神のように優しく微笑んでくれた千星先輩のお母さん。


「だって……千星はね、真白ちゃんのためだけにこんなになったんだから」

「……へ?」


私のために、こんなになった……?


「元々、勉強はできる子だったのよ?文武両道で。けれど、少し感情に劣ってて。」


そう……なんだ……。


「けど、真白ちゃんに出会ってからは完全に変わったわ。もちろん、いい方に。それで、真白ちゃんと結婚できるならなんでもするって、ずーっと勉強してたのよ」

「そ、そんなっ……」


嬉しい……。


「だから……逆に、真白ちゃん以外と婚約なんかしたら、多分千星は生きれなくなってしまうと思うわ」

「ええっ……!?そ、それは大袈裟じゃっ……?」

「はぁ……それが不便なことに大袈裟じゃないんだよな」


大きなため息をついた先輩のお父さん。