溺愛体質の先輩が甘くするのは私だけ。

その時だった。


ガチャンッ!!


使用人たちによって開けられた大きな扉。


開けられた先に立っていたのは……。


モデルかと疑うほど、綺麗な顔をした2人。


「父さん、母さん、ただいま」

「……ふぇ!?こ、このお二方が!?」

「?そうだよ?」


い、一体先輩のご両親は何歳なんだ……!?


「あら!あなたが真白ちゃん?」

「あ、は、はい……!!」


ゆるっとしたボブの髪型の先輩のお母さん。


なんだか……20代後半に見えるんだけどっ……!


「わぁー!大きくなったわね!」


ぽんぽんと頭を撫でられる。


「ちょっと母さん、真白が怖がってるでしょ?」

「あ、あらっ……ごめんなさい。大丈夫?」

「は、はい!全然!」


むしろ、明るく接してくれてこちら的にはとっても嬉しい……!!


「……じゃあ、話は客室でな」


先輩のお父さんがそう言って、私たちは客室へ。


「……話というのは……真白ちゃん、千星と婚約をしてくれないか?」

「……へっ……?」


先輩のお父さんに告げられたその言葉。

——答えなんか、yesに決まっている。

けれど……。