「さぁ。お弁当、早く食べよう」

椎菜が私と向かい合わせに座る机の上に、お弁当を出す。


椎菜がパカッと自分のお弁当箱の蓋を開けると、玉子焼き、唐揚げ、トマトなど、色とりどりのおかずが顔を見せた。


おっ、美味しそう。私は、思わずゴクリと唾を飲みこむ。


椎菜のお弁当を見ていたら、余計にお腹が空いてきた。


私も早く、お母さんの手作り弁当を……って、あれ?


嫌な予感がした私はゴソゴソと、机の中やカバンの中を漁る。


「どうしたの? 花梨」


なんだか今日は、いつもよりもスクールバッグが軽い気がするなぁと思っていたけれど……まさか。


「……お弁当、持ってくるの忘れた」