「ん?」


同じく疑問形で聞き返した私が彼の方を向くと、銀ちゃんは今までに見た事がない程真剣な表情で自分のパソコンを凝視していた。


眉間に皺を寄せてこめかみに手を当てつつ、もう片方の手でカーソルを動かして。


数秒間その体勢で固まっていた彼は、ゆっくりと顔を上げた。


その視線と私の目が綺麗にぶつかり合う。








「…このパソコン、あいつらに逆ハッキングされかかってるかもしんねぇ」







そのまま彼が紡いだ言葉は、私の口をぽかんと開けさせ。


「……え?」


今まで静かに私達の会話を聞いていた航海が、素っ頓狂な声をあげた。



「…どういう事?」


一拍遅れて、冷静な口調で湊さんが尋ねる。


「たった今、このパソコンにバグが起こったんだ。…あいつらが、俺がハッキングしてるのに気付いてやり返してきた」


銀ちゃんのパソコンがもしも逆ハッキングされた場合、銀ちゃんは怪盗フェニックスの本部のハッキングはおろか、パソコンの操作自体出来なくなる可能性があるらしい。


「でも、そうと決まったわけじゃ…WiFiの事もあるし、何せ銀ちゃん天才ハッカーじゃん!」


その最悪の状況を否定したくて、声を張り上げたものの。