赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



「そういえば、見た目によらず果敢な性格だったな。最近はそんな姿も見なかったからすっかり忘れていた」

私が匡さんにそんな姿を見せていたのは、せいぜい中学の頃までだ。
質の悪いからかい方をする男子生徒に負けじと食って掛かったりしていたけれど、高校に上がってからは偏差値が高いこともあってか周りもぐんと大人しくなり、そんなやりあいはなくなった。

その頃の私はなんでも匡さんに報告していたから、私の喧嘩歴はすべてバレている。

匡さんが未だにそれを覚えていてくれたのは嬉しいにしても、とりあえず過去の自分は恨んだ。

「美織は昔からなんでも話してくれたが、俺に泣きついてきたことはほとんどなかった。普通なら、身近に年上の男がいたら頼るだろう。同級生の男子との喧嘩なんて余計にだ。それなのに、いつも自分で立ち向かっていって、俺へは事後報告だった」

匡さんが寝室に向かいながら話すので、後ろに続きながら苦笑いをもらす。

「そうでしたっけ」
「ああ。それがじれったかった。美織が俺に手を伸ばしたのは、後にも先にも一度だけだ」

最後、寝室のドアを開ける音と重なりよくわからなかったので「え?」と聞き返したのだけれど、匡さんは答えずにスーツを脱ぎだしたので、まぁいいかと流す。