赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



言い切る前に一刀両断される。しかも二度も。

私が色々な方向からのアプローチで働きたいと申し出て、それを匡さんが断る……というのも、ここ半月ほどは定例化していた。

最初の一週間はただ普通に頼んでいたけれど、あまりにとりつく島がないため、私も色々と考えた。

たとえば少しくらい働くなりして体を動かさないとかえって不健康になると言えば、パーソナルトレーナーを家に呼ぶなりすればいいと言われ、たとえば働いて存在意義を得たいと言えば、この家にいるだけで俺の望む勤めは果たしていると言われ……。

今日は、匡さんの仕事を絡めてみたけれど、結果はいつも通りの『ダメだ』。

厳しい反対に声を詰まらせた私を匡さんが横目で見る。

「最初にも言ったとおり、おまえの仕事は、この家で大人しくしていることだ。家の中でなら何をしていても構わないし、何も難しいことは求めていない。それに、子どもだっていつできるかわからないだろ。そんな状態で就職なりバイトを始めるのは責任に欠ける」

もっともな正論に、グッと押し黙る。
たしかに結婚している以上、いつ妊娠してもおかしくはない。実際、避妊だってしていない。となれば、仕事を続けられても最短で半年やそこらだろうし、悪阻だとか体調次第ではもっと早く辞めなければならなくなる。

そんな可能性が十分考えられる上で雇って欲しいなんていうのは、無責任以外のなんでもない。

さすがに返す言葉をなくした私にひとつため息をついた匡さんが続ける。