赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



「もっと昔、匡くんが中学くらいの頃だったと思うけど、一時期やけに元気がない時期はあった気がする。塞ぎ込んでるっていうか、そんな感じだった。多分、受験とか進路で悩んでたのかなって思ったけど。あの頃って確か、おじさんも忙しくて家を空けることが多かったみたいだから、相談できる相手がいなかったのかも」
「受験……」

匡さんがそんなことで塞ぎ込んだりはしない気がしたけれど、匡さんだって人間で、当時は十四歳かそこらだ。

雅弘おじ様も忙しくしていて頼れない状態だったなら、ひとりで抱え込んで悩みもしたのかもしれない。

それでも、なんとなく、今の完璧な匡さんからは想像もつかないだけにすんなり納得はできずにいると、麻里奈ちゃんが続ける。

「まぁでも、なんか知らないうちに元通りの匡くんになってたから、麻里奈も何も言わなかったけど。匡くん、詮索されるの嫌いだし、聞いたところでちゃんと答えてくれないし」
「じゃあ、ひとりで乗り越えたのかな……可哀相」
「でも、匡くんってすごいし、それくらい何でもないでしょ。……っていうか、麻里奈のカップ空なんですけど。美織さん、気が利かなすぎる」

不満気に口を尖らせた麻里奈ちゃんに言われ、慌てて立ち上がる。