赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



遠慮しても叫んでもまったく聞く耳を持たない匡さんにされるがまま、お風呂場で素足を洗われた後で新しいストッキングに足を通しリビングに戻ると、テーブルの上には新しいコーヒーと紅茶がすでに用意されていた。

大人四人がらくらくに座れる大きなソファに、匡さんと横並びに座る。

足をシャワーで流しただけなのに、長風呂でもしたように体が火照っていた。
原因が恥ずかしさと居たたまれなさなのは言うまでもない。

白いお皿の上にはフィアンティーヌという薄く口当たりのいいクッキーが並んでいた。

匡さんは甘いお菓子は好んで食べないので、滝さんが私に準備してくれたものなのだろう。

口に入れると上品な甘さが広がり、濃い目に入れられたストレートティーとの相性は抜群だった。

匡さんがコーヒーをひと口飲んだところを見計らい、さきほどの件に対して切り出した。

「麻里奈ちゃん、帰国していたんですね」

本人を前にしたら〝さん〟よりも〝ちゃん〟の方が似合う気がして、そう呼ぶ。

匡さんは最初、私が麻里奈ちゃんのことや留学していたことを知っているのを不思議そうにしていたけれど、そのうちに披露宴での祥子さんとの会話を思い出したのか、納得した顔で頷いた。