赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



掃除は、しようと思い立つことすら許されないほど、床も棚も綺麗に磨き上げられている状態だ。

そんな、それこそ高級ホテルに毎日宿泊しているような生活は、一般家庭で過ごしてきた私には正直合わない。
一年のうち何日かそんな日があったら嬉しいとは思うものの、毎日となると話が違うのだ。

贅沢を言うようだけれど自分のことは自分でしたい。

でも、引っ越してきて早々に、滝さんという四十代の女性に何か手伝いたいと申し出たら『美織様は雇い主様ですので、家事や裏方は私たちが』とやんわりと断られてしまった。

ついでに『ここでは私たちがお手伝いするのが通常ですので、どうぞお気を遣わず。美織様も早く慣れてくださいね』といわれてしまえばそれ以上食い下がれない。

そして、そんな風に〝雇い主と使用人〟と一線引く発言をされれば、気軽に話しかけることもできなくなってしまった。

同じ家にいても家族ではない。
そんな関係にはなかなか馴染めないのが現状だった。