赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



大学二年が終わる頃『美織の大学卒業を待って結婚したいと思っている。だから就活の必要はない』と言った匡さんに頷いたのは私だし、どういう訳か要所要所で匡さんから結婚というワードは出ていた。

だから、そう言ってるしいつかそうなるのかなとは思いながらも、やっぱり匡さんの気持ちがわからないからか、どこかふわふわしたまま卒業式を迎えていたし、正直なところ、それは今も変わらない。

匡さんの口ぶりや母や雅弘おじ様の雰囲気からなんとなく結婚へのルートがいつからか引かれていて、無事そこに到着し、挙式披露宴をした。

新婚旅行も行ったし、同じ家に住み、毎日顔を合わせるようになった。

大好きな匡さんと結婚できて感激している私に対し、匡さんは淡々とプログラムをこなしているだけに見えるのは、きっと気のせいではない。

でも、匡さんだって二十二年もの付き合いがある私を、恋愛感情とは違っても大事には思ってくれているはずだし、それだけで十分だ。

たとえ、この結婚がプログラムの不具合から起こった結果だろうと、なんだろうと、私が匡さんを好きで結婚したいと思っていたのは紛れもない事実なのだから。

その夢が叶った今、ややこしいことは考えず、ただ幸せな生活を満喫だけしていればいい。

ひとり、うんうんと頷いているところを相葉くんに「どうだったんですか? 結婚式」と促され、指先で土を撫でながら笑みをこぼす。