匡さんと結婚したいという気持ちは変わらないし、変わる気もしない。
けれど、その前に私には匡さんに似合う女性にならなければというミッションがあったため、そこに向けて一生懸命だったのだ。
大人の女性になるために教養をつけようと、本来なら家庭の事情もあるし高校を卒業した後は働こうと思っていたけれど、母の賛成をもらい医療系の学部がある大学進学に進路希望を変更した。
周りの目だってある。匡さんの家柄を考えれば、四大を出ておいた方がいいとも思った。
当時も変わらず週に一度顔を出し勉強を見てくれていた匡さんには、どうしてか珍しく少し反対されたけれど、私は考えを曲げなかった。
働くにしたって、四大を出ておいた方が選択肢は広がるし、切磋琢磨して自分を高めていけるような環境で頑張りたいと頼み込み、それなりに名の知れた大学に合格し、四年間ふるい落とされないよう必死に勉強し……そして忘れもしない卒業式。
校門前にスーツ姿で現れた匡さんに、私は袴姿のまま立派なホテルに連れ込まれ、ブライダルエステやら何やら施され、その三日後、私はウエディングドレスに身を包み教会に続く扉の前に立っていたというわけだ。
まるでハイライトだけを詰め込んだみたいな三日間と挙式披露宴だったと今でも思う。



