「え、今……っ」
「正直、子どもはいつできてもいいと考えていた。すぐでも、二年後でも三年後でも。できないならそれはそれでふたりの生活を楽しめばいいだけだとも思っていたが……こうして実際に妊娠したとわかったら言葉にならないほど嬉しいものだな」
幸せそうに目を細める横顔に、うっかり問いただすタイミングを逃す。
さっき、どう考えても好きだと言った気がするのだけれど確認ができずもやもやしながらもただ眺めていると、信号待ちになると同時に匡さんがこちらに視線をよこし――。
「美織が好きだ」
ハッキリとそう告げた。
あのホテルの部屋で恥ずかしがっていたのが嘘のような正面からの告白に目を見開いていると、匡さんが困り顔で微笑む。
「母親になった美織にいつまでもストレスを与えておくわけにもいかないだろう。おまえの体と子どものためだったら、これくらいなんでもない」
堂々とした物言いに、ようやくさっきの〝好きだ〟がストンと私の中に落ちてくる。
ずっと待っていた言葉があまりにキラキラしているから、どう扱っていいのか戸惑うほどだった。



