「いつの話をしている? 俺は、美織が中学生に上がる頃には成人していた。見方によっては法に触れるだけの年の差があるのだから下手に動けるはずがないだろ。だから、美織が高校を卒業するのを待って想いを告げ結婚するつもりでいた」
「え……」
思わぬカミングアウトに驚き、本当なのか聞き返そうとしたけれど、匡さんが続ける方が先だった。
「それに美織だって言わなかっただろ。あれだけ好きだの結婚したいだの繰り返していたのに、高校二年の夏前から突然言わなくなった。同時に、敬語を使うようになり俺の呼び方も変わった。あれだけ突然距離を置かれれば気持ちが離れたのだと判断して当然だ」
「え……っ、いえ、違います。あれは匡さんに私のことを大人の女性だと意識して欲しい一心で……」
慌てて話し出した私を、匡さんが止める。
「別に責めているわけじゃない。美織の気持ちは俺から離れるはずがないとなんの根拠もないのに疑わなかった俺がおかしいだけだ。どうしてか、おまえはずっと俺のそばにいるものだと信じきっていた」
落ち着いたトーンで言う匡さんが弱っているように見えて胸がキュンとする。
でも、一番欲しい言葉はまだもらえていないので「あの、匡さんは私が恋愛的な意味で好きってことなんですよね?」と直接聞いてみたけれど、匡さんはそんな私をじっと見たあと、問いには答えず別の話をし出す。



