「庇護欲だとかもあるのかもしれない。でも、俺からしたら恋愛感情だったし、美織以外にここまで強い感情を持ったことは一度もない。先のことを言うのは馬鹿馬鹿しいが、それでも今後もそうだと断言できる。美織以外に感情を揺さぶられることはありえない」
自信の滲む声で言い切られる。
結婚する前も結婚してからも、こんなふうに私への想いを声にされたことはなかったので恥ずかしくて一度はうつむいたものの、欲が出た。
チラッと見上げ「あの」と勇気を出して切り出した。
「その、そんなに私のことを大事に想ってくれていたのに、どうして何も言ってくれなかったんですか?」
少しだけ不貞腐れたような声になってしまったことに言ってから気付いたけれど、それも仕方ない。
だってそのせいでずっとすれ違っていたのだ。
今の話によれば、挙式のときも新婚旅行のときも、匡さんは私を好きだったということになる。
それがわかっていれば、もっと幸せな時間が過ごせたかもしれないのに、と思わずにはいられなかった。
でも、そんな私の後悔は、匡さんの眼差しにピタッと抑えつけられる。
険しく歪んだ目で見られ、匡さんに横抱きにされたままの体が凍り付いたように強張った。



