赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



「あの……私、自分で食べられますけど」

いつかのように私を膝の上に横抱きにした匡さんが、フォークで掬ったケーキを口元に運んでくるので苦笑いで言う。

椅子に座っているし、私のお尻は匡さんの足の間の台座についているので、匡さんにそれほどの重さはかかっていないにしても、成人した男性と女性のとる体勢ではない気がして落ち着かない。

幼い頃、さんざんこうして匡さんに甘えた記憶があるから余計にだろうか。
未だに匡さんに子ども扱いされているように感じ、素直にもたれかかったり寄り添ったりができない。

「わかっているが」

じゃあどうして、という声が、口先に当てられたケーキに止められる。

チラッと見上げてみても、匡さんはさも当然と言わん顔で私に餌付けしているので、どうしていいのかわからなくなりながらも、仕方なく口を開いてケーキを食べる。

さすがオシャレなホテルのアフタヌーンティーのセットだけあって、どのケーキも驚くほどにおいしく、自分のペースで食べられないのがじれったいほどだった。

自身でもコーヒーを飲みながら私にケーキやらマカロンやらのスウィーツを食べさせる匡さんをじっと見上げ、少し迷ってから口を開く。

ケーキを味わうためじゃなく、会話をするために。