どうして匡さんはそこまで私を想ってくれながらひと言も声にしてくれなかったのかだとか、どうして叔父さんのことを私にきちんと話してくれなかったのかだとか、匡さんの口から聞きたいとは思うけれど、そんなのももう後でいい。
立ち上がり、匡さんに近付く。
そして、まだ下がったままの眉尻のあたりにそっと手を伸ばした。
「そんな顔しないで」
匡さんの目をじっと見つめる。
「匡さんのことは私が守るでいいじゃないですか。私だってそうしたいです。私はずっと、匡さんにとって一番の都合のいい女になりたいと思って、私だけができることを探してきたんです。だから、そんな重役を与えてもらえるなんて嬉しい。私が匡さんを守って、笑顔にします」
そう告げた私に、匡さんはわずかに目を見開いた後、ふっと微笑んで私の手を握った。
「昔みたいだな」
『匡くんのことは美織が笑顔にする』
まさか匡さんも覚えているとは思わなかっただけに、今度は私が驚いて……そして笑顔になる。
「そうですね」と笑った私の後頭部に匡さんが手を伸ばし、抱き寄せられるとそのまま唇が重なった。
もう何度となく交わしているのに、まるで初めてのキスみたいに嬉しくてドキドキしていた。



