普段の匡さんは感情を表に出さない。表情にも、声にも。
それが今は、表情にはツラさが窺え、声には後悔が滲んでいる。
そんな匡さんを前に、胸が張り裂けそうなほどに彼への想いでいっぱいになっていた。
何も言えない私を見た匡さんが続ける。
「生まれたばかりの美織を見たとき、子どもなりだったが、それでも守りたいと真剣に思ってたんだ。誰よりも可愛いと思ってもいたのに……あんな目に遭わせた」
あまりに苦しそうに言う匡さんに、それは違うと伝えたいのに感情がいっぱいで声が詰まる。
せめてふるふると首を横に振った。
匡さんが怖がりだって、知っていたのに。
麻里奈ちゃんにそんなわけないって言われたけれど、私はちゃんと知っていたのに……心の奥で怯えていた匡さんに少しも気付いてあげられなかった。
匡さんはきっと、私が苦しんでいるところを見るのが苦手なんだ。あのときのことを思い出すから。
だから、私が寝込んでいると必ずそばから離れないんだ。失うかもしれないという考えがどうしても離れないから……だから、ずっと。
「美織を守っていたつもりだった。でも、本当に守られていたのも支えられていたのも……そして、離れたら生きていけなくなるのも、全部俺の方なんだ。……情けない男なんだ」
少しだけ困ったような顔で言われてしまえば、今までのことすべてがどうでもよくなってしまうのは惚れた弱みなのだろう。
でも、こんな凶悪なほどに可愛い匡さんを前にしたら、本当に心の底から他のことなんて些細なことだと思えてきてしまうのだから仕方ない。



