赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



『基本的には受け取らない。家に届いたり勝手に持ち物に入れられていたものは、市販品は寄付できる施設に送る。手作りは処分する。誰がどこで作ったのかもわからないものを口にはできない』

他の子からのチョコは断ったと話すのに、私からのチョコは当たり前の顔をして受け取るのだから、そんな態度を見せられたら勘違いだってして思い込んでしまうのだ。
両想いなんだと。

恋する乙女の思考回路は、いつだって自分だけに与えられる特別がどこかに隠れていないかと目ざとく探し〝期待していい〟という許可を待っているのだから。

『少し失敗しちゃったから、無理して食べなくて大丈夫だよ』
『問題ない』

背伸びして作ったガトーショコラを焦がしてしまった時も、匡さんは私の前で食べてくれた。甘い物は好きじゃないのに、だ。

そして、ホワイトデーには必ずお返しを用意してくれていて、それは可愛いオルゴールの年もあったし、テーマパークのペアチケットで一緒に出掛けてくれた年もあった。

だから……ショックだった。

匡さんがスーツ姿の大人の女性とふたりきりで会っているのを見かけたときは、頭が真っ白になったし、女性に見せる微笑みを確認した途端、後ろから力いっぱい殴られたような衝撃を受けた。