赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



成長しても、匡さんへの想いは一度も揺らがず、バレンタインのチョコだって、一度も欠かさず渡していた。

もちろん、『本命だよ。匡くん大好き』という言葉も添えていて……今思えば、結構な重さである。

小さい頃ならまだ可愛くもあったけれど、中学生に求愛し続けられた当時大学生の匡さんが、周りからロリコンに見られていた可能性を考えると少し忍びない。

八歳という年齢差は、時に犯罪めいてしまうものだったんだなと今は思う。

匡さんが拒絶しないのをいいことに、気持ちを隠すということを知らずに育った私は高校生になってもまだ、平気で『好き』と伝えていたし、本気でいずれ匡さんと結婚できるとも思い込んでいた。

痛い女だということも、少し世間の感覚とズレていることも、今はもう自負して認識もしているのでそこは許してほしい。

家柄だけとっても一般家庭のうちと違って、大企業のトップを務める雅弘おじ様を父親に持つ匡さんとは立っているステージが違いすぎる。

私が匡さんを望むなんて分不相応もいいところだ。

でも、『大好き』という言葉とともに差し出されたチョコを受け取った匡さんが『ああ』だとか『知ってる』だとか、私をちっとも拒否しなかったのも私が痛く育った原因だったと思う。