赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



「食べるか?」

ただ、クッキーを食べるかどうか問われているだけなのに、どうしてこんなにドキドキするのだろう。

そして、匡さんはどうしてそんなに色気たっぷりの眼差しで私を見ているのだろう。

まるで夜のベッドの上みたいな雰囲気を感じ、尻込みしそうになる。

とっぷりとした蜂蜜の中にでも沈み込んだように、吸い込む空気が甘くしっとりとしていた。

「……は、い」

匡さんの意図も、これがいったいなんのゲームなのかもわからない。
でも、なんとなく私が目先三十センチほどの距離にあるクッキーを食べなければこの空気が終わらない気がして頷いた。

完全に匡さんの腕に背中を預けていた状態だったため、お尻の位置を少し後ろにずらして、どぎまぎしながらも上体を起こす。

今はまだ滝さんたちもいる時間帯だ。

早く済ませなければ……という焦りにも似た使命感を抱き匡さんが持っているクッキーに顔を近づけた。

結婚式でもケーキカットはあったし、そのときにお互いにケーキを食べさせあった。

当然、周りの目もあったどころか、なんならカメラマンまでいたのだから、密室で匡さんとふたりきりの今の方が気楽なはずなのに、信じられないほど心臓が騒ぐのは、匡さんが近距離からじっと見ているからだろうか。