赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



早い話が座ったまま横抱きにされている。

オフィスチェアに座っている匡さんの太ももの間に私のお尻があるので、重さはそこまでかかっていないにしても一気に縮んだ距離に驚き目が泳いだ。

「あの……?」

どうしてこんな体勢になっているのかがわからない。
匡さんはこうしたくて私の腕を引いたのか、それとも別の目的があったのに何かの手違いがあって結果こうなってしまったのか。

きっと後者だろうと考えすぐに降りようとしたけれど、それを肩に回った匡さんの手が止めた。

私の動きを封じるようにグッと力強く抱き寄せられますます意味がわからなくなる。

「なんですか……?」

こんな体勢でいる理由も、そんな嬉しそうに細めた目で私を見つめてくる理由もなにひとつわからずに聞いた私に、匡さんは口の端を上げる。

そして、私が抱えたままでいるお皿を取り上げると、テーブルの上に置き、そこからクッキーを一枚手に取った。

「美織は食べたのか?」
「え、あ、はい。焼き上がったときに、麻里奈ちゃんとたくさんつまみ食いしたので」

今は呑気にクッキーの話をしている場合でもないけれど、聞かれたので答える。

そんな私に「そうか」と頷いた匡さんは、何を思ったのか、手にしたクッキーを眺めてから視線を私に移した。