「それにさ、美織さんの片想い歴って狂気じみてるじゃん。匡くんにとっても、麻里奈にとっても、そんな膨大な時間、ただ匡くんだけを想ってたっていう事実は恐怖でしかないっていうか。黙るしかない感じじゃん」
「そんなに……? なんか、相葉くんにもスーパーヘビー級とか言われたけど、そこまでかな……」
ただ当たり前のように匡さんを好きでいただけなのに、まるでやばいやつだと言われているようで不安になっていたのだけれど。
「そこまでだしどうかしてるよ。麻里奈、そんなに誰かに想われ続けてるって知ったら怖いもん。でも、匡くんはそれを受け入れて結婚してるんだって、美織さんの片想い歴を聞いた時に気付いて……匡くんの覚悟を見せられた気がした」
そう話す麻里奈ちゃんの横顔は、今まで見た中で一番静かで綺麗だった。
思わず声を失っている私を見上げた彼女は、勝気な笑みを浮かべる。
「あの女よりはまだマシだから、一時的に美織さんの応援してあげる」
とても可愛く、これ以上ないほど心強い援軍に、自然と頬が緩んでいた。
「今日、作ってみたんですけど……よかったら食べますか?」
夕食後、匡さんは残した仕事があるからと自室に行った。
なので、一時間ほどが経った頃、ようやく匡さん好みに入れられるようになったコーヒーを入れ差し入れ……ついでにクッキーを差し出した私に、彼は珍しく少し驚いた顔をした。



