赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



呆れて笑った時、オーブンの電子音が鳴り焼き上がりを知らせる。
フタを開けると、それまでも漏れていたバターの香りがより一層強まり自然と表情が緩む。

綺麗に焼き上がったクッキーをクッキングシートごと作業台の上に置き、第二陣を天板に載せている間に「おいしい!」という声が聞こえてきた。

お菓子作りをする上でのつまみ食いはもう誰だろうと逃れられない運命なので仕方ない。

「ね、これ少し貰っていってもいい? ママにもあげたい」
「うん。もちろん。いっぱい作ったし、匡さんは食べないだろうから好きなだけ持っていって」

またオーブンを十五分でセットしてから、私もオレンジピューレのクッキーをひとつつまむ。

バターとお砂糖たっぷりのクッキーは作っていると主にカロリー面で不安にもなるけれど、やっぱりこうして食べるとおいしい。

まだ熱の残るクッキーが口の中でほろほろと崩れていくのを味わっていると、隣でココアクッキーを食べていた麻里奈ちゃんが「ねぇ。クッキーのお礼に言っておくけど」と私を見た。