赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



母は、もともとは日勤しかない個人病院に勤務していた。
けれど、高校受験も無事終わり、私がひとりでももう安心して留守番できる年齢になったからか、高校に上がると同時に夜勤もある総合病院に移った。

給料的になのかな、と少し思ったりもしたのだけれど、母が言うには、性格的と仕事的理由かららしい。

母が生き生き働いているのは一緒に暮らしてきた中で知ってはいるものの、無理だけはしないでほしい。

「じゃあ、私が小さい頃は普通の生活リズムに合わせるのが大変だったんじゃない? 十五年くらいはずっと日勤だけだったもんね」

父が他界する前から、母は産休明けですぐ仕事に戻ったと聞いている。

母が夜出て行ったという記憶はないので、私が生まれてから高校生になるまでは日勤を選んでくれていたのだろう。
それは、いい年して夜になるとテンションが上がると言う母にとっては苦行だったのかもしれない。

そんな、なんてことのない会話のつもりだったのに、母が妙な顔をして黙るので、不思議に思い首を傾げた。

「どうかした?」
『ああ……ううん。なんでもない。それより美織、新婚生活はどう? 桧山家での生活には慣れた? 世界が全然違うでしょ』