赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



毛先を整えたり十センチほどのカットならここまで見る人すべてを絶句させずに済んだのだろうけれど、三十センチのカットは冷静沈着な匡さんですら黙らせてしまうのか、と少しおかしくなりながら微笑んだ。

とりあえず、気付いてくれて嬉しい。

色々不安はあるものの、この嬉しさは素直にくみ取ろうと意識した。卑屈になったらダメだ。

「ただの気分転換です。これから暑くなりますし、また短くするのもいいかと思って」

深い意味はないと笑った私を、匡さんがジッと見ていた。



夕食後にお風呂を済ませ、ドライヤーをかけた後、寝室に入る。

すっかり短くなった髪先をいじりながらベッドに座り、母に、昔みたいな髪になったことを伝えようと思い携帯を操作する。

実家と桧山家はそこまで離れていないものの、母は看護師として働いていて夜勤もあったりするのでなかなか時間がなく、新婚旅行のお土産を渡しに行って以来会えていない。

半月ぶりなのでそこまで久しぶりではないけれど、せっかく髪も切ったことだし顔を見て話したいと思い、テレビ通話を選ぶ。

だからか、ワンコール鳴ったところで、少し驚いた顔の母が携帯画面に映った。

『どうしたの? なにかあった?』

真っ先に聞いてくる母に首を横に振る。