赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



もしかしたらあの女性と私を重ねてみたりされているのかな、と一度思ってしまったら、あのままの長さでいるのが堪らなく嫌になったのだから仕方ない。

滝さんのことは信頼しているけれど、なんとなく有事の際には匡さん側につく気がして、今回も〝美容院に行きたい〟と相談したら匡さんに確認の連絡を入れられてしまう気がした。

そのため、相葉くんの友達が経営している美容室を紹介してもらった。

滝さんは有能だ。あまりに私の姿が見えなくてもきっと匡さんに連絡がいく。

そんな事情から私は、相葉くんが庭の作業を終了させる正午までに戻らなければならなかったので、色々と省き最速でカットしてもらった。

『いや、俺これ、クビ案件じゃないっすかね……』

あんなシーンを目撃した手前、気分転換も必要だろうと軽い気持ちで私を美容室に送り出し、いかにも私も一緒に庭で作業してますといった風を装ってくれていた相葉くんは、まさか私が三十センチ以上もカットするとは思ってもみなかったのだろう。

無事戻ってきた私の髪を見るなり顔を青くして頭を抱えていた。

その後、滝さんにも案の定絶句されたのだけれど、意外にも怒られなかったのは、滝さんも少し匡さんの私の拘束具合に思うところがあるからのようだった。

『あの、美織様、なにか悩みがありましたらなんでも聞きますのでおっしゃってくださいね。微力ながら、話し相手くらいにはなれますし、お買い物もついていきますのでたまには気分転換に思う存分欲しいものを買われるのもいいかと思います』

気を遣ったような笑顔で言われてしまい、なんだか申し訳なかった。

別にこの生活に不満を募らせてのカットではないものの、本当の理由は言えないので、控えめに頷くだけに留めた。