赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました



「……は」

夜、玄関先で出迎えた私を見るなり、匡さんは珍しく言葉を失っていた。

「〝は〟?」と首を傾げると、ようやくハッとした様子の匡さんは自分を落ち着かせるように小さく息をつき、それから私を見る。

「いや、ひとりで勝手に出たのか」

まだ少し動揺の残っている瞳に問われる。

「……すみません」
「その間、何か変わったことは? 誰かに会ったり話しかけられたりしなかったか」

真面目な眼差しは怖いほどで、「はい」と答えた声が思いの外小さくなってしまった。

真意を確かめるように私をじっと見ていた匡さんは、嘘ではないと判断したのか、ようやく雰囲気を和らげる。

あの女性との逢瀬を見られたかを心配しているのだろうか、と思い、どっぷりとした暗闇に沈んでいきそうになった気持ちを必死に持ち上げ笑顔を保った。

「どういう心境の変化だ」

匡さんを、息を飲ませるほど驚かせたのは、突然短くなった私の髪だ。
腰のあたりまであった髪は、今は肩の高さまでしかない。

幼稚園の頃から高校二年生まではずっとこの長さだったので、正直、子どもっぽくなってしまうのが心配でずっと切らずにいたけれど、今日は思い切った。