随筆、エッセイ、この類の書き物は昔から作られてきた。
 古いものでは「春はあけぼの」で知られる皆さんご存知の『枕草子』、時代を経るごとにその数は増し、現代では歌手や俳優がペンを()り文を(したた)めるほどである。
 いや、もうペンを執るどころかパソコンで打ち込むと言う方が馴染みが良い。私もその一人だ。

 私はどちらかというとデジタルが好きな人間で、不要な紙が出るのがもったいないからという理由で大学進学に合わせてノートパソコンとタブレットを買い、ついでにスマートウォッチまで揃えてしまった。
 すっかり「信者」の仲間入りである。
 高校までは教室にスマートフォンを持ち込むなどもってのほかで板書を取るのも課題を提出するのもノートに手書きが当たり前であるが、高校を卒業してからそれまでに積み上げられたノートやプリントの山を見るや否や、この量の紙が燃やされたら地球環境に良くないなと思ってしまった。
 そこで大学からはノートの代わりにタブレットで板書を取ることにしたのだが、ある日タブレットの充電をしようとコードに手を伸ばした時のこと、タブレットを充電するための電気を作るにも地球環境に良くないことがたくさんあるじゃないかと思った。
 火力発電は二酸化炭素が出る、水力発電はダムを作る時に森林を破壊する、原子力発電は事故が起きたら大変だ、太陽光発電をするにも広い土地が必要になる。
 こうなってしまってはノートを大量に使い役目を終えたらみな燃やされるのと、タブレットを充電するための電気を作るのと、どちらも環境に良いわけではないなということになりどうしようもなくなるのである。