「いや、ありがとうございます。まさか夕食を頂けるなんて」


 才蔵くんは、きれいに猫をかぶって、夕食を食べている

 やはり和食

 才蔵くんは好きなのかな......?

 そう思ってみていると


「なにさ」


 耳元で、ぼそっと呟かれる

 味噌汁を飲むふりをして、『なんでもない』と、かえす


「ふーん」


 低音ボイスが、いい感じに耳に響いて、意識しているのがバレそうになる

 才蔵くんのことだからバレているような気もするが......


「由紀にぃが、そういえばいませんが......」


 そう、由紀にぃが見当たらない

 目を左右に動かす


「勉強するって言ってたわよ」

「あいつは勉強しても、意味ないけどね。もう寝てるんじゃない」


 ぼそっと耳元で、呟かれる

 思わず、お茶を吹き出しそうになった

 笑わせないでよ、本当のことだけどさ


「母上、終わりました」


 由紀にぃが、現れた


「「寝てなかった......」」


 声がダブった

 その呟きを拾った母が、いい感じに攻撃を放つ