「俺が知っているのはこれぐらいです。

あとは体育準備室で平坂の人形、
…制服とかつらを着させた人形で
平坂はもういないと察しがついきました。

…そのあとは引きづられるように
トイレに置いていかれたりとそんなことを
繰り返し、最後は放送室に落ち着きました」

「途中こう言われました。
“本当に何も気づかなかったんだよね?”と。

ーそこから何度も平坂が死んだ情景を
語られて正直ここから出たら
皆と死んでしまおうと、思ってました」


そう言いポロポロ涙を流す渡。

この事件で精神的に1番きつかったのは
渡だろう。

友人が目の前で傷つく状況を
見ることしかできない不甲斐なさ。

優しい彼が1番適していない役だった。

重苦しい雰囲気に包まれるなか、
厳かに警官が口を開いた。


「これで満足していただけましたか」


私たちが頷くと警官2人は
平坂の母親を連れて病室を出て行った。

その時に残したあの言葉を、
今でも呪いのように覚えている。



「私、この事件を起こしたことは一つも
後悔していないわ。

あなたたちにしたことは消えないけど。

これでもう、私の、私の大切で。
最愛の息子を忘れることはないでしょう。」

「最後に
…ねえ、あの子が生まれ変わったら。

また、お友達になってね」