もし残った3人が何かあった時
すぐ気づけるよう扉は開けておいた。

一度外に出て人間がいないか確認する…
しかし廊下には人の気配が僅かすらない。

ガムテープが貼られたのは私たちの教室だけ
残りはいつも通り何の変哲もない。

並び順は二列で、隠された共犯者が
「行動しないよう」に
固まって移動することになった。

その時、一度空き教室のドアを引いてみる…

やはり、『鍵がかかっている』。
まずはマスターキーを探すしかないだろう。周りもそう思ったのか私たちの足は真っ直ぐ職員室に動いていった。


「遥、
カッター僕が持とうか?刃物苦手だって…」

「ありがとう。
刃をしまったから大丈夫。鉄パイプはー」

『まだ“本番”じゃないし
カッターも鉄パイプも私が持つよ』


艶子は何も言わないで黙って
私に鉄パイプを差し出してきた。

私が理由を言いたくないのをなんとなく
勘づいてくれたのだろう。

鉄パイプは思ったより重量感がない。
私は預かったカッターをポケットにいれ
そのまま歩き出した。

信じていない訳ではない、
でももし共犯者の言葉が本当だとすれば、『この3人のうち1人が』渡を殺そうとしているのだ。

もしかしたら、
私たちも狙われているかもしれない。

隙を突かれてカッターで1刺しすれば全滅、鉄パイプだって同じだろう。


信じたいけれどやはり不安だ。

武器を渡すときは、共犯者が此処にいる
可能性が高い場合だけに絞りたい。